
不労所得で生活したい、というのは多くの人が見る夢です。
そうした夢を見る時、まず気になるのは「いくらあればいいのか」ということでしょう。
この記事では、どのくらいの資産があれば不労所得生活ができるのか、という点を解説していきます。
不労所得で生活するには資産がいくらあればいい?
結論を言うと、不労所得で生活するには最低1億円の資産が必要です。
もちろん不労所得の種類にもよるので、ここでは株式投資や債券投資だけで生活する場合を指しています。
たとえばオンラインで多くの人が使いたがるシステムを開発したらまったく別です。
現時点の資産がなくても、そのシステムの利用料金によって不労所得を稼げるでしょう。
ただ、これも「システムのメンテナンス」「新しい技術の導入」などの労働が必要です。
そう考えると「完全な不労所得」としては、やはり安定的な株式投資や債券投資となります。
ほぼノーリスクの債券投資や株式投資では、稼げる年率は約3%~6%です。
低い方の3%だとしたら、1億円あれば年間300万円の不労所得が得られることになります。
これが不労所得で生活するための最低ラインといえるでしょう。
不動産投資の場合
不動産投資については「アパート・マンションがどれだけの部屋数・棟数あればいい」ということは、まったく言えません。
理由は「そのアパート・マンションの空室率・利益率などによって大きく異なる」からです。
さらにいうと、管理を自分でしているのか、それとも人や管理会社などに任せているのかという点でも異なります。
確かに「毎月家賃が入る」という点では、不労所得に近いものがあります。
しかし、稼いでいる大家さんのブログやTwitterなどを見ると、毎日さまざまなメンテナンス作業や事務手続きをしているものです。
こうしたことを面倒くさがって「すべて不動産会社まかせ」にしてしまう大家さんは不労所得を得られても、その金額は小さくなります。
さらに言うと、物件をキャッシュで購入したか、ローンで購入したかという点でも、どのくらいの物件があればいいかが異なるものです。
現金で購入したら利息の返済がないので、家賃収入の不労所得だけでの生活もしやすいでしょう。
しかし、ローンで購入した場合は利息分も稼ぐ必要があるので、より大きな物件や部屋数が必要になります。
このように、不動産投資の不労所得で生活するのに必要な物件の条件は、一概にはいえません。
そのため、単純計算で1億円の物件があれば、年間400万円~500万円は稼げる可能性があると思ってください。
株式投資の場合
続いて株式投資のケースを解説していきます。
まず「株式投資は不労所得かどうか」ですが、デイトレーダーのように毎日激しくトレードしている場合、それは労働なので不労所得とはいいにくいでしょう。
そのため、ここでは「ほったらかし」の株式投資の収入を不労所得とします。
その場合の資産配分で一番おすすめなのは「インデックス投資」です。
インデックス投資は「すべての株を買う」という手法で「どれかが下がってもどれかが上がる」という仕組みになっています。
つまり、究極の「ローリスク・ローリターン」で年間の利回りはほぼ固定されたものです。
特に米国株の場合、毎年6%程度の利回りが常時期待できます。
当然ながら、平均値というのは計算する期間が長ければ長いほど「ほぼ確実」な数値になっていきます。
S&P500はもっと短期間でみると「11%」など高い数値のこともあれば、リーマンショックの時など「3年連続マイナス」ということもありました。
しかし、30年で見ると大体6%で、40年で見てもやはり大体6%なのです。
つまり、株のインデックス投資でS&P500を選ぶ場合、40年ずっと投資していれば毎年6%は期待できます。
米国株への投資ということで多少言語の壁などもあるでしょう。
しかし、株式投資だけで不労所得生活を目指すなら、一定以上の資産があればこの方法が一番いいかと私は思います。
ゴールド投資の場合
投資の中で「一番安全」というイメージがあるのがゴールド・金でしょう。
結論をいうと、不労所得生活をする上で、金投資を選ぶことはおすすめしません。
実際に投資している方のブログを見ると、1000万円単位など相当な金額で投資しなければ、利益が出るどころかマイナスになることが多いようです。
倉庫をレンタルする月額がいるということですね。
「いや、金を保管してくれる田中貴金属などのサービスを使えばいい」と思うでしょう。
田中貴金属などの会社も、ゴールドをただの数字として扱っているわけではありません。
実物を保管している以上、その管理費がかかるのです。
「本当は数字だけで保管していない」となったらそれは詐欺なので、従業員が告発したら社長が逮捕される可能性もあるでしょう。
つまり、こうした会社も「実際にゴールドの現物を確実に保管している」「そのために物理的な管理費がかかる」ということです。
そして、そのコストが大きいため、よほどの金額で投資しないと「管理費・手数料の方が高くなってしまう」ということになります。
これが「数千万円~数億円」という金額になると、金投資は合理的な手法になるでしょう。
数億円分の金塊は量としてはそれほど多くないため、スペース自体はそれほど必要ありません。
金投資の手数料というのは「小口の投資家のデータを管理する労力」にかかるものであり、場所代は小さいのです。
つまり、あなたが数億円分のゴールド投資をするなら「あなた一人を管理する小さな労力」「数億円分の金塊を保管する小さなスペース」という風に、手数料の割合は格段に低くなります。
金額が大きい分手数料自体は高くなりますが、利益と比較したら割合が小さくなるということです。
このため、数億円を用意してからすべてをゴールドにつぎ込むということなら、不労所得に金投資を組み込むのもありでしょう。
しかし、そうでなければ金投資は「ただの貯金」と考えるべきと私は思います。
不労所得生活で失敗した人の体験談にも学ぼう
不労所得生活を夢見るのはいいことですが、失敗した人の体験談もしっかり読んでおきましょう。
その人たちも、不労所得を増やしている途中では「それがずっと続く」と思っていたのです。
あなたが今「このまま不労所得を増やし続ける自信がある」と思っていても、彼らの体験談を一度は読んでおくべきです。
たとえばアフィリエイトで10年ほど稼ぎ続けていた人が失敗した体験談で、はてなブログで有名なものが2つあります。
正確には「はてな匿名ダイアリー」という、ブログを開設しなくても誰でも書き込めるものです。
大学生時代から年収400万円ほど稼いでいて、就職後間もなく退職し、専業のアフィリエイターになったという方の体験談です。
26才まではうまく行っていて、多い時では月収80万円ほどあったといいます。
それが27才の時に月収20万円まで落ちて、そのままアフィリエイトや自営業をやめることにし、公務員を目指している、という内容です。
つまり、5年間は大体月収60万円程度を維持していたということになります。
年齢を考えれば、アフィリエイターとしてはかなりの成功者の部類です。
むしろ、下がった後の20万円の段階でも「踏ん張ればそのまま行けたのでは?」とアフィリエイトの知識が少しでもある人は思うでしょう。
アフィリエイトの世界では、月収20万円でも十分すごいからです。
確かなことは「不労所得で生活するのは意外と不安である」ということでしょう。
この方のケースは物理的には相当安定していたのですが、精神的に不安定だったようです。
体験していない私からすると「経済的に安定していたのだから、精神的にももっと安定してよかったのでは」と思いますが、こればかりはご本人でないとわかりません。
TOKIOの山口達也さんの事件などを見ても「何もかも手に入れているような人でも持っている不安」というのは山程あるのでしょう。
つまり、不労所得生活は「経済的に成功していても安心できるかどうか、やってみなければわからない」ということです。
- 経済的にうまく行くかわからない
- うまく行っても、今度は精神的にうまく行くかわからない
このように「二重の不安要素」があるということです。
「後者については人それぞれ」というのは確かですが、先の大学生の例でも、山口さんの例でも「成功した後の不安」というのも、またあるのでしょう。
よく「どん底から這い上がった人が異様に強い」というのがありますが、これは「成功した後の悩み」が小さいからかもしれません。
「再び落ちたとしても、その生活に適応する自信がある」ということですね。
何はともあれ、不労所得生活は「実現するのも維持するのも、維持した状態に満足するのも難しい」ということを意識してください。
不労所得で生活するために「倹約」が重要な理由
不労所得生活を実現するにも維持するにも「倹約が重要」というのは、理屈としては理解できるでしょう。
しかし、多くの日本人が今ひとつ実感できてない状態だと私は感じます。
そんな状態でも倹約の重要さを実感できるエピソードを紹介しましょう。
ガソリンスタンドの店員をしながら資産約10億円を築いた、アメリカ人の投資家のロナルド・リード氏の実話です。
ロナルド・リード氏は92才で亡くなりましたが、その時点で9億7000万円の資産を持っていました。
そして、彼の職業は生涯ガソリンスタンドの店員や掃除夫でした。
高給取りどころか、おそらく平均年収も下回っているだろう仕事です。
37才でスタート、平均年収以下の肉体労働という条件でも、92才までの55年間で資産約10億円を築くことができたのです。
これができた理由の1つに、彼の徹底した倹約があります。
ロナルド・リード氏は「地元でも有名なケチ」だったそうです。
ボロボロになるまでずっと同じ服を着ていたため、ホームレスと間違えられることもしばしばあったといいます。
少し考えてみるとわかりますが「地元で有名なケチ」というのは相当です。
あなたの地元でそんな人がいたら、と想像してみてください。
よほどのレベルでなければ、地元で知られるレベルにはならない、と理解できるでしょう。
これだけ倹約・節約する能力があったからこそ、ガソリンスタンドの店員という低賃金のお仕事でも、10億円の資産を築くことができたのです。
これを見ても、不労所得生活を実現するために「倹約ができれば非常に強い」ということがわかります。
ちなみに、ロナルド・リード氏は特別な投資は一切していません。
米国株のS&P500は「500社」ですが、ロナルド・リード氏は自分で個別に選んで100社に投資しています。
500社ほどの分散投資ではありませんが、かなりの分散投資です。
100社に分散していたら、個別の銘柄のおかげで爆上げということはありません。
ロナルド・リード氏が亡くなったのは2014年ですが、アマゾンやAppleなどのIT株には一切投資していませんでした。
バンク・オブ・アメリカやAMEXなど、歴史のある企業だけに投資して、安定的に資産を増やしてきたのです。
こうした事例を見ると、不労所得生活を実現するにも維持するにも、下の4点が非常に役立つことがわかります。
- まじめに働く
- 節約する
- リスクを取らない
- 健康を維持する
最後の「健康を維持する」ですが、ロナルド・リード氏の享年92才というのは、アメリカではかなりの長寿です。
アメリカ男性の平均寿命は、2015年で78才だからです。
平均寿命より14年長いということは、日本人男性だと「95才まで生きる」ということになります。
「神レベル」ではありませんが「かなり健康な部類」というのは間違いないでしょう。
長期投資で多くの人がぶつかる壁は「どれだけ資産が増えても、老後では意味がない」というものです。
しかし、世の中には100才でフルマラソンを完走する人もいます。
「ほぼ確実に失敗しない安定した投資をしながら、そのくらい健康な晩年を送る」と思うと、結構夢のある話ではないでしょうか。
「ワクワクする」かどうかは人それぞれでしょうが、ここで重要なのは「このやり方は、才能やチャンスなど無関係で、ほぼ確実に成功する」ということです。
そして、そのような希望を世界の人に与えたため、ロナルド・リード氏は「たかが資産10億円」でも、世界的に有名な投資家になったといえます。
不労所得生活を実現した人の事例を、変な人の話にだまされずに多く収集していくと、意外な人生のヒントが見えてくるかもしれません。