友人・知人、あるいは職場の同僚や上司などからお金を借りることもあるでしょう。

そのように知り合いからお金を借りる時は一筆借用書を書くべきです。

要は「借金をしました」という念書ですが、なぜこれが必要なのかという理由や書き方を解説していきます。

お金を借りる時に一筆借用証(借用書)を書くべき理由

なぜ知人・友人からお金を借りる場合には一筆借用書を書く必要があるのかというと、「その方が金銭トラブルになりにくいから」です。

お金を借りる側としては借りた証拠が残る借用証はあまり書きたくないものでしょう。

しかし、逆にお金を貸す相手側としては「念書や契約書なしに貸し付けると、返済してもらえるのか不安」という気持ちも当然あります。

そのため、相手への思いやりとしても、お金を借りられる確率を上げるためにも、借用証を一筆書いた方がいいということです。

これはお金を借りるためのノウハウとか方法という問題ではなく「人間として当然のマナー」でもあるでしょう。

「友人・知人だから契約書や念書はなしでいい」は間違い

私の経験からいうと、知人・友人にお金を借りようとする時「友達なんだから、契約書とか念書とか、水臭いこと言うなよ」という人がいます。

しかし、これは『ナニワ金融道』の作者・青木雄二氏も著書で書いていることですが、こういうことを言う人は、絶対に友達ではありません。

人間の世界には友情とか愛情という気持ちは確かに存在し、それは絶対に疑うべきではありません。

しかし、友情のある人だったらお金を借りる時に必ず自分から借用証を一筆書くものです。

むしろお金を貸す側が「そんなのいいよ」と言っていても書こうとするくらいです。

本当に友情がある人だったら、お金を借りることだけでも申し訳ないと思うものですし、絶対に迷惑をかけないように自分から背水の陣を敷くのです。

それをしないで「いいじゃん、友達だろ?」などという人は、絶対に友達ではありません。

少々突き放したことをいうと、その人に現時点で本当の友達はいないでしょう。

そのことを相手にはっきり伝えてあげるのも、人間としての愛情の一つです。

人間誰しも完璧ではないですし、「貧すれば鈍す」ということわざ通り、お金がなくて一時的に精神状態が荒れることはあります。

そうしたことを配慮しつつ、傷つけないように断りながら、「借用証も念書も書かないなら、お金は貸さない」ということをきっぱりと伝えましょう。

数年前に『嫌われる勇気』という書籍が年間ベストセラーとしてブームになりましたが、日本人が得意な思いやりの中でも「相手に嫌われることを覚悟する毅然とした思いやり」は、もっと浸透してもいいかと思います。

なお、この段落は「貸す側」の立場で書いてきましたが「借りる側」の場合は、こうした相手の気持ちをよく理解し、必ず借用書を一筆書くようにしましょう。

お金を借りる時の借用書の書き方は?テンプレートはある?

お金を借りる時に一筆借用証を書くことが決まったら、次は「どう書くか」が気になるでしょう。

借用証の書き方に特に決まりや形式はなく、必要な事実がすべてわかればOKとなります。

具体的には「借りた金額・日付・金利・返済期日・借りた人・貸した人」などです。

金利はあってもなくてもかまいませんが、利息を払うのであれば当然書きます。

必ずしも金利として「実質年率何%」のように書く必要はなく、たとえば「○月○日までに返済して、利息は5000円つける」などの形でもOKです。

この場合、計算すれば金利は一応出せますが、要は「二人の約束」がわかりさえすればいいので、別に金利として利率を記載する必要はないのです。

「貸し手・借り手」の情報については、氏名だけでなく住所が必要です。

私の経験からいうと、意外と不要なのが「印鑑」で、本人が直筆で名前を書いたら捺印なしでOKという書類がほとんどです。

役所に提出するあらゆる書類がそのようなルールになっています。

そのため、貸し借りの契約書でも押印なしでOKですが、念のためにお互い捺印した方がいいでしょう。

どうしても念書・契約書を書く時がその日しかなく、その時印鑑をどちらかが忘れてしまったという場合のみ、印鑑なしにすると考えてください。

なお、書き間違いをした場合は二重線で消して書き直しますが、その時には該当部分に印鑑が必要になるので、この点のみ注意してください。

なお、借用書についてはインターネット上にテンプレートや雛形、ワードやエクセルの書式が無料でアップロードされているので、それらをダウンロードして使ってもいいでしょう。

お金を借りる時に借用証を書くことを断ることは可能?

お金を借りる側にとって、一筆借用証を書かされるということは、確かに借金をしたという証拠が残るということになります。

そのため「できれば借用書を書かずにお金を借りたい」と思っているかもしれません。

しかし、当然ながら貸し手が借用書へのサインを求めてきた以上、借用書を書くことは必須となります。

もしそれが嫌なら他の人に借り入れを申し込むべきでしょう。

あるいは、モビット・プロミスなどの消費者金融のように、サービスとして融資をしている企業・キャッシングブランドに頼るべきです。

それができず、その貸し手しかお金を借りる相手がいないなら、借用書を書く必要があるでしょう。

お金がなくて困っている時は、銀行カードローンやクレジット会社などから借りる場合でも、常に自分目線で考えてしまいがちです。

しかし、お金を貸す側が要求することは、書類の提出にしても金利・利息にしても、すべて自分が融資する側だったら当然求めるだろうと想像することが大事です。

多重債務者としての経験がある私が見ても、そのような心の余裕がある人の方が大抵返済もうまく行きます。

「返済できるような金額だったら余裕があった」のではありません。

「借金だらけの時でも余裕を持てるほどの理性があったから返済できた」と考えるべきです。

理性というのは、物理的には大脳新皮質などの脳の一部の働きです。

そして脳は臓器であり、鍛えることで筋繊維と同じように神経回路も増設されていくので、理性=大脳新皮質は「使うことで鍛えられる」ものなのです。

「もともとマラソンが速い人などいなかった」というのと同じように「もともと理性があった人などいなかった」と思うと、理性を鍛えやすくなるでしょう。

お金がないと理性を失いやすいのは理解できますが、脳科学的にいいトレーニングの機会だと思い、借り手の側に立って考えるようにしてください。

お金を借りる時の一筆、借用証・契約書・念書・覚書の違いは?

ここまでは説明をシンプルにするために、お金を借りる時に一筆書く書類は、すべて同じ意味で使ってきました。

しかし、厳密には借用証や念書、契約書や覚書の意味・内容は違います。

まず借用証ですが、これは「私がお金を借りました」という内容なので「借りた本人が書くだけでもOK」なものです。

つまり、貸し手の方が借用証に何も書かなかったとしても、借用証という書類を作ることはできます。

しかし、一般的に考えてやはり「二人が一緒に書いた書類の方が説得力がある」ものですよね。

そのため、一般的には「借用証には借り手と貸し手双方がサインや捺印をする」という形になっていますが、これは厳密には「契約書」と呼ばれます。

その約束に関して、当事者双方が書くものは契約書という分類になるのです。

では「片方だけ」が書く書類は何かというと、これが「念書」です。

「双方が書く…契約書」「片方が書く…念書」ということですね。

つまり、借用証は2人で書いたら契約書で、1人で書いたら念書という分類になります。

正確には二人で書いた場合「賃貸借契約書」となるので、借用証とはいいませんが、個人間の貸し借りでこのような専門用語を使う必要はないでしょう。

お金を借りる時の一筆を公正証書にするメリット&意味

「大事な書類を作成する時は、公正証書にするといい」という話を聞いたことがあるでしょう。

お金の貸し借りで借用証を一筆書く場合にも、それを公正証書にすることで必ず約束が果たされるようになります。

理由は、公正証書があると「相手が少しでも約束を破った瞬間、差し押さえができる」からです。

お金の貸し借りについて言えば、一日でも返済が遅れた瞬間、融資している側は借りている側に差し押さえ(強制執行)をかけていいのです。j

このルールは返済期日だけでなく、返済金額でも適用されます。

期日通り返済しても、金額が1円でも足りなかったら同様に強制執行可能ということです。

公正証書を組むとこれだけの法的拘束力があるので、約束を守らざるを得ないんですね。

自分がお金を借りる側の時は「返すかどうか心配だったら公正証書を組む」ということで、貸し手を安心させることができます。

逆にあなたが貸す側で借り手を完全には信用できない時は、公正証書を組むことを提案しましょう。

公正証書を組まれても、約束通り返済するつもりだったら何も問題ないので、本来は借り手が嫌がることはないはずです。

それでも公正証書を嫌がるということは、その借り手は「踏み倒す気が満々」ということです。

それ以外に公正証書を断る理由はないので、もし断ったらお金を貸す必要はないでしょう。

このように、公正証書はある種の「踏み絵」としても機能します。

約束を破った時に役立つというだけでなく、「そもそも、約束を守るつもりなら公正証書を断るはずがない」ということで、相手の誠意を試せるわけですね。

そのため、特にあなたがお金を貸す側で、借り手が本当にお金を返してくれるかどうか不安という時には公正証書を持ちかけるといいでしょう。

そして、あなたがお金を借りる側の時には、貸してくれる相手が公正証書の話を出してきたら、当然その条件を飲むべきです。

それだけの覚悟を見せれば、お金を貸してもらえる可能性も高くなるでしょう。